地震酔いとパニック障害

地震酔い

地震酔いは、三半規管の乱れなどによるストレスが原因で、
地震でもないのに地震のように揺れていると感じたり、
めまいを覚えたりします。
 
また、複数回にわたり大きな地震が続くような場合に起こりやすく、
主な症状として、めまい、吐き気、頭痛、動悸、冷や汗、下痢などの
乗り物酔いに類似する症状が多く見られます。
 
そして、比較的短期間で徐々に症状がおさまる傾向があります。
 
対処方として、適量の水分を摂取してリラックスすることや
横向きに寝ることなどがあげられます。
 
対処した後は症状が軽減したりします。
(新語時事用語辞典より抜粋)
 
⇒ 地震酔い
 

パニック障害

パニック障害は、自律神経のバランスが乱れやすいことが原因で、
突発的な動悸(どうき)やめまいなどの発作に繰り返し襲われ、
再発への恐怖心にとらわれる精神障害で、不安神経症のひとつです。
 
症状によっては、医師の診断が必要となります。
 
別名:急性不安神経症
 
なんの前触れもなく、めまい、動悸、呼吸困難、
ふるえなどの自律神経症状にくわえ、
激しい不安に襲われる「パニック発作」を繰り返し起こします。
 
例えば、バスの中で震災にあった方の場合、
その後バスを利用しようした際に
震災時の恐怖心から動機や呼吸困難に陥ってしまうなど、
起こった場所や状況を避けようとして、
生活範囲が制限されてしまう状況に至ってしまいます。
 
パニック発作は、心筋梗塞などの症状によく似ているため、
循環器科など内科で検査しても内科的な異常はみつからないので、
まずは専門医(精神科や心療内科)で相談する事をお勧めいたします。
 
また、「発作では死なない」とわかっていても、
パニック障害の患者さんは発作がおこると
強い不安にとらわれてしまいます。
 
そばにいる人が「大丈夫」と優しく声をかけ、
背中をさすったりして安心させてあげると良いでしょう。
 
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/disease/panic.html(厚生労働省HP)
 

災害急性期の医療援助における精神保健

1995年の阪神大震災等を契機として災害医療に対する関心は急速に高まり、
被災者や救援者の心のケアについても広く知られるようになり、
急性ストレス障害(ASD)や心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関する
知見なども多く報告されています。
 
ASDは恐ろしい出来事を体験した後に起こります。
本人はその出来事を頭の中で繰り返し再体験し、
それを思い出させるものを避けようとし、不安が増大します。
 
PTSDとは、「トラウマ(心的外傷)」となる、心に受けた衝撃的な
傷が元で後に生じる様々なストレス障害のことを指します。
 
そのASDやPTSDに対しての治療的介入は、
精神、心理の専門家が実施すべきこととされていますが、
今回のような大規模災害急性期の混乱の中で、
精神、心理の専門家が充分な対応することが難しい場合もあります。
 
そのため、医療従事者、救急隊員、警察官、教師など、
人と関わる仕事に従事する人々が、災害が与える心理的影響について知り、
治療介入を必要とする人をスクリーニングできる能力を有する事が
必要なことは、間違いないところと思われます。
(EMERGENCY CARE 2007 新春増刊)
 
http://www.medica.co.jp/topcontents/eastjapan_quake/M0607508-9.pdf
 
また、災害がもたらす心理的影響は、
短期的な影響にとどまらない場合も多いため、
長期にわたって、継続的な心のケアが必要となります。
 
実際、新潟県中越地震の被災者の中には、
震災後2年を経ても心理的苦痛を訴える被災者が多かったといいます。
 
[参考文献] 論題:災害時のこころのケアとは何か 新潟県中越地震の経験を中心に
著者:塩入俊樹(岐阜大学 大学院医学系研究科精神病理学分野)
誌名:日本社会精神医学会雑誌(2010年19巻1号42頁~48頁)
 

災害救援者の心の守り方

大惨事は、救援者に対しても本来の適応能力では対処できない
ストレスを与えることがあることは、前述したとおりです。
 
そこで、まず救援者は、「心の準備」を行ってから
現場に向かうことが求められます。
 
そして、ストレス反応があった場合は、自分でそれを知り、
生活のリズムを守り、睡眠を十分取るなど、
まず、自分で対処することが求められます。
 
これは、自衛隊、警官、医療従事者からボランティアまで、
災害現場で救援に当たるすべての人達が共有しておく
知識のひとつだと思います。
(EMERGENCY CARE 2011年5月号)
 
http://www.medica.co.jp/topcontents/saigai/images/M061105.pdf
 
なお、救援者も災害現場を離れた後、PTSDを発症することもありますので、
まず、発症を予防するための教育をすること、
次に、最悪の状況での対処の仕方等を伝え、
心理的な衝撃を減らす努力をすることが重要です。
 
[参考文献] 論題:Let's start!災害医療(第29回) 災害で特有な問題被災者および救援者のPTSD
著者:大澤智子(兵庫県こころのケアセンター)
誌名:救急医療ジャーナル(2010年18巻6号58頁~61頁)