がんと喫煙

喫煙は肺がんだけでなく、食道がん、喉頭がん、口腔がん、咽頭がん、腎がん、膀胱がん、膵がん、胃がん、子宮頸がん、急性骨髄性白血病などの発症リスクを高めることが知られています。
 
日本にたばこがなかったら、がんの発症数は半減すると断言する疫学者もいるほどです。
 
欧米に比べて日本では遅れが目立つたばこ対策ですが、禁煙外来を設ける医療機関の増加や禁煙補助薬が薬局で買えるようになるなど、禁煙をサポートする体制が整ってきていいます。 
快適な禁煙術を知って、健康を維持することが大切です。
 
日本には喫煙補助薬として、ニコチンパッチ、ニコチンガム、経口薬(チャンピックス)があります。 
経口薬は、禁煙外来などを受診して医師の処方箋を得る必要がありますが、ニコチンパッチ、ニコチンガムは、薬局で購入することができます。
 
喫煙を止められない人のために、電子タバコが発売されています。
 

 
国内の調査では、禁煙外来受診者の1年後の禁煙成功率は3割程度。
海外の調査では、市販の禁煙補助薬を利用した場合の1年後の禁煙成功率は1割程度。
 
再度、吸ってしまうことは決して稀ではないため、何度も繰り返し、禁煙にチャレンジし続けることが重要だといわれています。
 
喫煙を続けるのはニコチンへの依存(ニコチン依存症)が生じているためです
ニコチン依存症になると、たばこを止めようと思わなくなるといわれています。
 
英国王立内科医師会は、ヘロインやコカインなどの非合法の薬物よりも、ニコチンは依存が生じやすいとの報告書を出しています。
たばこを止められない喫煙者はニコチンの被害者であり、ニコチン依存症という病名を持つ患者です。
 
ニコチン依存症は薬や禁煙補助薬を上手に活用して治すことができます。
ニコチンという発がん物質と、一日も早く縁を切ることが重要です。
 

禁煙挑戦7割が失敗に ファイザーのネット調査

この1年間で禁煙に挑戦した喫煙者のうち、7割が失敗に終わっていることが、ファイザーの調べで分かった。失敗した人のうち、半数以上が1週間以内に挫折。
禁煙による「イライラ」、ストレス解消への欲求などが失敗の主な要因で、禁煙中にニコチン離脱症状に苦しむ喫煙者の姿が垣間見える結果となった。
 
同社が昨年実施した「ニコチン依存度チェック」の回答者9400人を対象に、今年3月から4月にかけて、インターネットを通じて追跡調査を実施。74.9%に当たる7042人から回答を得た。
 
過去1年間で禁煙に挑戦した喫煙者の割合は27.8%(1958人)。このうち禁煙に成功したのは27.8%(544人)にとどまった。禁煙に失敗した1414人のうち、半数以上に当たる774人が1週間以内に禁煙に失敗。失敗の原因は、「禁煙中のイライラに耐えられなかった」(37.9%)、「ストレスを解消したかったから」(21.8%)が上位を占めた。
 
またニコチン依存症と判定された喫煙者の3分の1が禁煙に挑戦したものの、8割が失敗。ニコチン依存症でない喫煙者は、5分の1が禁煙に挑戦し、約半数が禁煙に成功。ニコチン依存症の人の方が、禁煙への意欲が高いものの、禁煙に成功することが難しい現状が浮き彫りになった。
 

喫煙と骨粗鬆症

喫煙は、骨に直接的・間接的にさまざまな機序で作用し、骨密度を減らす。
 
直接作用としては、ニコチンやたばこ煙中のカドミウムが骨細胞に毒として働くことが指摘されている。
 
間接的作用としては、小腸からのカルシウム吸収の減少、ビタミンD不足、副腎皮質ホルモンや性ホルモン代謝の変化、非喫煙者よりも低い体重、非喫煙者よりも早い閉経、非喫煙者に比べて低い活動度などである。
 
これらの直接的・間接的影響によって、喫煙者は非喫煙者に比べて、オステオカルシンなどの骨形成マーカーが低く、骨粗鬆症をきたしやすいとされている。
 

電子タバコ